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欧米の労働者にはこの傾向がある。
ここでも「年と功」制度は、「年」のもつ本来的平等性を媒介にして、奇妙に能力主義的競争のライバルを増やし、「シラケタ」人の輩出をおくらせるのである。
この関係は思えば、一定段階までの政府の産業保護政策が早期の優勝劣敗を防ぐことによって数多くの有力企業を育て、かえって明日の企業間競争の活力を大きくする関係に似ている。
大学卒が78%を占める男子従業員を対象とした労働省委託調査によれば、彼らの昇格は平均して勤続6.3年までは自動的であるが、53%の企業では5年目までに、88%の企業では10年目までに差がつくという。
この数値は、おそらく近年の選別の早期化傾向を反映して、日本のサラリーマンはおよそ30代前半までは差がつかないという定説よりは、きびしい状況を示してはいる。
しかし、経営者も若年層に対しては、すべての人の能力開発に高い期待をかけて、大きな昇格差を控えるという特徴はまだ認められよう。
K氏の洞察するように、日本の競争は「将棋の駒」型なのである。
日本型人事考課以上に述べた日本の能力主義管理の特徴は、まとめれば次のようになる。
潜在能力の重視、その主内容をなす高度なフレキシビリティへの適応力と、その自然な惰力としての〈生活態度としての能力〉の要請。
その要請を具体化するいくつかのレベル設定と、そのレベルをみたす個人のがんばりを年齢・勤続階級に仕切って評価する「年と功」システム。
その帰結としての競争志向の大衆性と長期継続性。
この上で最後にふれておきたいのは、以上を作動させる中心的な手段としての人事考課制にみる、以上とまことに整合的な日本的性格である。
もっともここでは主要なポイントにかぎって、別の機会(熊沢1989)に書いたことをかんたんに再確認するにとどめたい。
その一は、査定の階層的包括性である。
ここは一節で述べた賃金支払いシステムの分類と密接にかかわっているけれども、総じて欧米とは異なって、日本ではブルーカラー、ホワイトカラー双方をふくむ正社員のすべてに人事考課を適用する。
〈期待の平等〉の反映というべきであろう。
そればかりか最近の大手スーパーマーケットなどでは、なお制度上〈期待の平等〉の外にあるパートタイマーにさえ、彼女らが基幹労働者化するにつれて査定を行使するようになっている。
その2は、評価要素が多面的なことだ。
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